見ていたけれど

26日付の『しんぶん赤旗』に山田和夫さんの文章が載っていました。
この間、小林多喜二と「戦艦ポチョムキン」とのかかわりについて書いて、いろいろな方からおしえていただきましたが、山田さんの文章で、蔵原惟人が『キネマ旬報』に書いているということがわかりました。
たしかに、『蔵原惟人評論集』第2巻(新日本出版社、1968年)に、「最近のソビエト映画界」という文章があって、その中で「ポチョムキン」をモスクワで観たということが書いてありました。後記によれば、初出(『キネマ旬報』1927年9月とだけあって、そのあとの日付が不明です)にはあたれず、収録された単行本『新ロシア文化の研究』(南宋書院、1928年)によったということです。その後、日本プロレタリア文学評論集の『蔵原惟人集』(新日本出版社、1990年)には収録されていなかったので、すっかり忘れていたのでした。
なにごとも、関心をもって見ないと、見ていてもみえていないということはあるものですね。ですから、軽々しく「新発見」だとか、「今までになかった」とかいうような言い方には慎重になったほうがいいでしょう。単に自分が知らないだけということも十分ありますから。
そうした謙虚さを、わすれないようにしましょう。