学ばない

荒井信一さんの『空爆の歴史』(岩波新書、2008年)です。
空爆によって相手を屈服させるという戦争理論の出発から、現在のクラスター爆弾をめぐる問題まで、新書というコンパクトな形でまとめたものです。
最初から、空爆というのは、ほぼ無差別に攻撃することで、相手の抗戦意欲をそぐという目的があったことが、さまざまな文書も援用しながら論証されているのですが、にもかかわらず、空爆によって、攻撃された側がたたかう意欲を減衰させるということは、過去の戦争ではなかったようです。イタリアに爆撃をうけたエチオピア、日本に攻撃された中国国民政府、アメリカにじゅうりんされた大日本帝国、近くはベトナムイラクまで、空爆そのものによって戦争が終わったケースは皆無といっていいほどです。
にもかかわらず、空爆がやまないというのは、「軍事専門家」であるはずの、各国の軍部のあたまはどうなっているのでしょうか。(もちろん、本音はべつなのでしょう)
オバマさんも、アフガニスタン増派など言う前に、クラスター爆弾禁止の条約に参加したらどうでしょう。それこそ「チェンジ」なのではないでしょうか。