あやふやな話

河出の世界文学全集のポール・ニザン『アデン、アラビア』(小野正嗣訳、2008年)です。
狭い世界から脱出しようとする主人公の心境を描いた作品で、彼が、パリでの生活で窒息しそうになっている状況がよく描かれています。
ところで、実は以前、ある人から聞いたのですが、新日本出版社が〈世界革命文学選〉のシリーズのなかで、ポール・ニザンの「トロイの木馬」を出版した(1967年)とき、「アデン、アラビア」も収録したのだが、そのときに、わいせつな部分を省略したのだと、その人は語っていました。
そんなに、わいせつな部分でもあるのかと思って、今回の小野さんの訳本を読んだのですが、どうもそういうところはなさそうに見えます。
その人が、勘違いしていたのでしょうか。