集めた時代

『世界文学全集 月報合本』(筑摩書房、1970年)です。
この合本も含めて全70冊になる世界文学全集で、1966年から70年にかけて刊行されました。筑摩は、同時期にやはり全70冊になる日本文学全集も刊行しています。
当時の『世界文学』ですから、中国やアラビアが少しはいっているくらいで、基本的には欧米中心になるのは仕方のないこととは思います。それでも、各巻に付された月報をみると、いろいろな作家を調べている人がいて、それぞれの読み方をしていることがわかります。
こうしたアンソロジーが当然のようになり立っていたのは、「基本的な教養」があって当然だという意識も広がっていたのでしょう。それは時代の意識だったのかもしれません。平凡社の『中国古典文学大系』もこの時代の産物ですから。新日本出版社も、『世界革命文学選』を出していますし。