東西

上田篤さんの『庭と日本人』(新潮新書)です。
京都かいわいの庭を題材にして、日本人の過去のありようをさぐったものです。
どこそこの寺にはだれそれの作った庭が現存しているとか聞くと、何百年という時間がつい最近のように感じてしまうというのも、考えてみれば不思議なものです。
上田さんは大阪出身で、ずっと京都や大阪の大学で講じていらっしゃったのですが、どうもこうした、西の人は、やっぱり東とはなんとなくちがうような感じがします。ほかにも、森浩一さんだとか、直木孝次郎さんだとか、上田正昭さんだとか、そうした人たちが、西というとすぐに思い浮かぶのですが、そこにある土地勘のようなものを感じてしまいます。
前に保田與重郎についてふれたときも、彼が桜井育ちだということが、思想形成に関係するというようなことを考えたことかありますが、それを金科玉条のごとくふりまわすことには意味はないでしょうが、まったく無縁のものとしてしりぞけるのも、いかがなものかとも思います。
奈良そだちの住井すゑさんというケースもありますからね。