志願

水野直樹さんの『創氏改名』(岩波新書)です。
日本が朝鮮を植民地にしていたときに、朝鮮民族の風習であった「姓」は一生変らないというシステムを、家族が一つの「氏」を名乗るという日本風に変えさせようとした政策を、当時の史料などをつかってあとづけようとしています。
日本人と朝鮮人とを区別したほうが支配しやすいという思惑も一方であり、そのために「氏」をつくっても、それがすぐに朝鮮由来だとわかるようなものにと誘導したり、「名」は表記を変えずにそのまま日本読みにしたり(失礼な例証にして申し訳ないのですが、「ジョンナム」さんを「まさお」さんにしたり、「ミリ」さんを「みさと」さんにするようなものですね)するという手段もとられたようです。
たてまえは「強制ではない」ということだったそうですが、届出が事前の予想よりも少ないと、案の定、圧迫していったこともあったそうです。
その点では、特攻隊がやはりいちおうは「志願」という形をとっていたのとおなじことなのでしょう。