ともかく、お悔やみ

川村二郎さん、逝去。
川村さんの文章は、ずっと昔、岩波の雑誌『文学』が幸田露伴の特集をしたときに、たしか「連環記」について触れたものを読んだのが始まりだったと思います。1984年に出たこれも岩波の『里見八犬伝』では、八犬伝の解釈として楽しく読ませていただきました。
批評の方向性はちがうのですが、『語り物の宇宙』(講談社文芸文庫)でふれられた説教節の問題とか、『日本廻国記 一宮巡歴』(河出書房新社)のような、各地の風土をさぐるものとか、『和泉式部幻想』(河出書房新社)の古典へのまなざしとか、保田與重郎を評価するところはどうかとも思うところもあったのですが、いろいろと読むことで刺激をうけてきたと思います。
お目にかかる機会は結局ありませんでしたが、書かれるものには注目していました。