誇り

井上ひさしさんの『ボローニャ紀行』(文藝春秋)です。
イタリア、ボローニャのまちを舞台にして、著者の会った人たち、経験したできごとを中心にして、イタリアのありようと、日本のありようとの対比をしています。
著者が会う人たちは、いろいろな形で、このまちのありかたに誇りを持っているように思います。その愛着が、まちのレベルであり、「国」のレベルでないところに、ボローニャの人たちの思いもあるのでしょう。日本でも、そうしたいい意味での「誇り」がもてるといいのだと、著者は言いたいのかもしれません。
ヨーロッパ全体の牛乳の問題で、農民が牛を高速道路を歩かせて、ローマまでデモ行進をしたという紹介があります。そういえば、旭爪あかねさんの『風車の見える丘』で、銀座で牛を連れてBSE問題のデモ行進をしたという場面がありましたが、そうした、現場性を重視する方法は大切ですね。これも、自分たちの仕事への「誇り」のあらわれなのでしょう。