撃墜

どこの新聞かは忘れましたが、サン=テグジュペリの乗った飛行機を撃墜したドイツ軍のパイロットが名乗り出たという記事をみました。
子どものころに、『星の王子さま』(岩波書店)を読んだときに、作者の略歴として、「飛行機に乗って偵察中に行方不明」という経歴を、何の気なしに読み流していて、なぜフランス人のかれが、1944年に偵察機に乗ったのかということまで気が回りませんでした。そのころ『夜間飛行』(堀口大学訳、新潮文庫)などもひととおりは読んだのですが、その程度の記憶で最近まできたのです。
加藤周一さんに、『抵抗の文学』(岩波新書、1951年)という本があって、加藤さん自身は若書きとして、平凡社の著作集にもわずかの文章しか収録してないのですが、そこに、レジスタンス文学としてサン=テグジュペリの名前をみて、あらためてそうだったのかとわかったというところです。
岩波版の訳者の内藤濯さんの著作権がしばらく前にきれて、今は各社で翻訳が出ているそうですが、そのうち、もう一度読み直してみるといいのかもしれません。何せ、覚えているのがゾウをのみこんだウワバミとバオバブくらいなので。

そういえば、たしか大江健三郎さんの「臈たしアナベル・リイ…」のなかで、若いころの友人が「プチ・ブリンス」とあだなされていたという設定だったと思いましたが、それってこの「星の王子さま」のことですよね。