編年体

野本陽代さんの『太陽系大紀行』(岩波新書)です。
こうした入門書は、よく工夫されているのですが、この本では、惑星・衛星探査の歴史を、対象の星ごとではなく、年代順に構成しています。それによって、何が試みられ、何ができ、何ができなかったかが、つかみやすくなります。人を他の天体に送るというのも、たしかに技術の進歩を示すものですが、そこに至るまでのプロセスや、無人探査機の持つ役割(たとえば、金星に人が立てる日がくるとは思えません)など、総合的な問題としてみることができます。
新書はもともと入門書としてつくられるものが多いのですが、その役目を上手にはたしているようです。