黄色の波

リービ英雄さんの『延安』(岩波書店)です。
延安を訪れた文学者といえば、かつて野上弥生子さんが、『私の中国旅行』(岩波新書、1959年)に書いたものがありましたが、21世紀の延安を、英語・日本語・北京語・現地語のさまざまなことばの混じりあいのなかでの、著者の訪問は、今の中国のかかえる、さまざまな側面を見せてくれます。
延安のある陝西省は、黄河の右岸に位置していて、左岸の山西省に対しては、河を越せずに日本軍が侵入できなかったということだそうです。黄河の土は、高く売れるとかで、著者はその採掘現場を見物します。
そうした場所に根拠地をおいた、毛沢東たちの当時の認識は、それとしてリアルだったのでしょう。それが、政権を獲得したあとで、どうなったのかはともかくとして。