にわとりとたまご

中沢弘基さんの『生命誕生』(講談社現代新書)です。
生命の起源を、地球外に求めるのではなく、地球が放熱しているところから生まれる、必然的なものだというところに、中沢さんの説があります。
説の当否そのものは、これからの実験や試料分析によって明らかにされるのでしょうが、〈現在の生命がある基盤の上にたっているから、生命の起源はこうだった〉というのではなく、〈地球全体がこういう方向に進んでいるから生命の起源はこうなる〉という流れで思考しているところに、ユニークさがあるというのでしょう。
どうしても、所与の条件にのっとって考えることが起こりがちなのですが、それを逆にして考えることは、言われてみればなるほどと思うことですけれど、そこに発想をもっていくことが大変なのだと思います。そうした柔軟さは、忘れてはいけないのでしょう。