きのうきょうあす

NHKスペシャルの、過去の東京の映像をカラー化したものを紹介する番組がありました。20世紀前半から1960年代までのいろいろな白黒映像を、いろいろなデータをもとにして着色して、当時の状況を考えるというもので、以前は第一次大戦から二次大戦までのヨーロッパのできごとを扱ったものが放映されていました。
それの日本版ということなのでしょうが、日本橋や銀座のような、同じ場所がどう変わっていったのかをみるのも、なかなかおもしろいものがあります。
その中で、神宮外苑競技場での学徒出陣の映像を、カラーにして東条英機が話したりするものにしたてて、そこに杉本苑子さんの文章をかぶせたところがありました。杉本さんの文章は、講談社文芸文庫の『東京オリンピック』に収められている、1964年の東京オリンピックの開会式に寄せたものです。20年前の学徒出陣のときにスタンドで見送った杉本さんは、20年後の開会式をやはりスタンドで見るのです。
20年というのは、ある意味あっという間のできごとです。けれども、その連続性を実感できる場合がいつもあるとは限らないでしょう。どの程度、想像力をはたらかせることができるのか、そこが問われているのかもしれません。これからの20年のためにも。