誰に読ませる

スージー鈴木さんの『1979年の歌謡曲』(彩流社)です。
文字通り、1979年に発売された歌謡曲をたどりながら、その音楽的な意味をさぐるというもので、著者は、ゴダイゴを、とくにミッキー吉野の仕事をきちんと評価しようという立場にたって、当時の曲を聴きなおしています。
それはわかりやすいし、1979年という、アイドル歌謡の谷間の時代というある意味ではおもしろい時期を取り上げたところに、意図もあるのはわかりますが、この本を読んでわかるのは、やはり当時の音楽を同時代で聴いていた人ではないかとも思うのです。「銀河鉄道999」のミッキー吉野による間奏がすばらしいとか、岩崎宏美の初期作品での阿久悠筒美京平とのコンビが、「快活なディスコ・ビートの上で岩崎の声が跳ね上がる魅力」を作りだしているというのも、わかりますけど、さて、この本を読んで当時の音楽を聴いてみようという、若い人がどのくらいいるのか。単なるナツメロ回顧ものになってしまっては、おもしろくないのではとも考えてしまいます。