ねじれ

佐々木潤之介さんの『世直し』(岩波新書、1979年)です。
幕末維新期というと、どうしてもドラマ的な捉え方をしてしまうと、勝海舟西郷隆盛だ、坂本龍馬篤姫だとかいう、政権にかかわる人たちの動きでみてしまいがちですが、当然、そうした変革をうながす、ひとびとの動きもあったわけです。全国各地で、いろいろな形の動きがあるのですが、そのなかで、やっぱり気になることもあります。
それは、当時の運動が、排外的な方向をもつことだとか、被差別民にたいしての過酷なまなざしをもっていたこととか、騒動のときに、規律をもった行動を意図していても、博徒や無宿人によって、規律が崩壊していったことなどです。
開国にともなう経済的混乱は、ある意味では、新自由主義による生活破壊と似た面があるでしょう。その中で、何を求めて動くのかは、よく考えられなければなりません。その点で、1860年代の人びとの動きは、もっと知られなければならないのでしょう。