書かれている

『コレクション戦争と文学』(集英社)の、「日中戦争」の巻(2011年)です。
戦時中の作品、戦後に書かれたものと、いろいろな形で、日本が中国大陸でおこなったことが記されています。
たとえば、藤枝静男「犬の血」(1956年に発表されたもの)では、〈スパイ〉として捕らえた中国人に犬の血を注射してどうなるかを〈実験〉させる場面があります。場所は〈満洲〉でのことです。
田村泰次郎「蝗」(1964年の作品)では、〈朝鮮人慰安婦〉を護送する兵士が主人公です。途中でそれを知った日本軍の将校に、部下の兵士たちのために〈通行税〉を求められる場面が出てきます。
そうしたことは、たしかにあったのでしょう。そこから眼をそむけないことが、これからのために大切なのだと思います。

朝の連続テレビ小説で、進駐軍が最初にやってきたときに、みなが家の中に隠れて、赤ん坊の泣き声がするのを声を出させまいとするシーンがありましたが、あれも、〈占領した軍隊が何をするか〉を、中国で日本がやったことをみんな知っているから、自分たちが今度は逆の立場になったと感じての行動なのでしょう。