いっしょくた

武藤洋二さんの『天職の運命』(みすず書房)です。
スターリン時代に、ロシアの文化人がどのような運命をたどったかを描いています。メイエルホリドとか、ショスタコーヴィッチ、パステルナークなどがメインの登場人物で、日本から越境してきた杉本良吉や岡田嘉子の話もでます。
生き延びるためにさまざまな術策を弄する人もいれば、おのれの節を曲げない人もいる、そういう中での、人間のありようが問われます。
こうしたものを読むたびに考えるのですが、社会主義に理想を抱きながら、現実のソビエト政権がそれと反しているがために反政府になるひとと、もともと社会主義の思想そのものに敵対するがために反政府になる人とを、どこかで区別しなければいけないように思います。それに鈍感で、とにかくスターリン時代でくくることが、その人たちにとっても幸せかどうか。
こんなことをいうと、日本の現状に安住しているのだろうとかいわれそうですが。