責任感

山崎正和さんの『鴎外 闘う家長』(河出文芸選書版、1976年)です。
なんでいまごろといわれるかもしれませんが、鴎外の仕事を、家の中での立場とあわせて考えるというのは、けっこう大切な視点かもしれません。ドラマの『坂の上の雲』でも、戦場で子規とかたる鴎外は、いろいろな日本軍の弱点に気を配る人として設定されていましたし、脚気問題(栄養をカロリーベースだけで考えれば白米は小麦よりもすぐれているのはたしかにそうだったのですが)とか、文学でも論争をしかけるなどの積極性は、よかれあしかれ、当時の社会には必要だったのでしょう。
たまには、鴎外をよみかえすのも、いいのかもしれません。