先達

河東碧梧桐『子規を語る』(岩波文庫、2002年、親本は1934年)です。
きのうの記事にもドラマの話をしましたが、香川照之の熱演のため、どうも子規というとそのイメージが強くなってしまいます。著者は高浜虚子とともに、子規の同郷の後輩で、いろいろと面倒をみてもらったのは、よく知られているでしょう。
ここでも、著者たちが、学校を中退するなどの、〈軽挙妄動〉に対して、きちんと叱責するところは指摘している子規のすがたが、引用される書簡から浮かび上がります。〈学生の手すさびの作品ならそれなりの言葉もだすが、本気の作品がこれではお話にならない〉と、著者の〈小説〉を批評するところは、批評のありかたとして、考えるものがあります。ダブルスタンダードなのか、それともそれが配慮なのか、意見はあるでしょう。世に出る前の原稿をどう扱うかは、常に問題になるのでしょう。