意外なところで

今年のセンター試験の小説問題は、中沢けいさんの『楽隊のうさぎ』(新潮社、2000年)でした。中沢さんの作品は、けっこう心理描写が複雑なので、入試問題には向かないかなともおもっていたのですが、それでも、この作品なら、まあ、問題にはできるでしょう。もともとは新聞連載の小説だったと記憶しています。文庫本で版も重ねているようですから、事前に読んだことのある受験生もいたことでしょう。
これがきっかけで、中沢さんの単行本未収録作品が刊行されるといいのですが。
何年か前に、別役実さんの文章が出題されて、著作権の関係で問題集への収録が不可能になった(池澤夏樹さんの作品もだめでした)という事件がありましたが、中沢さんは大丈夫でしょうか。いや、意外と、評論の岩井克人さんのほうが、危ないかもしれません。
昔、太宰治津島佑子さんと、それぞれ題材になったことがありましたが、水村美苗さんも、以前『本格小説』から出題されましたから、今回の岩井さんからの出題で、コンビ成立ということですね。福永武彦池澤夏樹のコンビも昔成立したような(これははっきりと確認できませんが)。