ふところの深さ

木村元彦さんの『橋を架ける者たち』(集英社新書)です。
もともとは『すばる』に不定期連載されていた朝鮮高校サッカーをめぐるエッセイを再構成したのだそうですが、在日の選手たちがどのようにして自分の場所をつくってきたのかということに関して、いろいろと考えさせられます。在日のチームが1980年代はじめころまでは強豪チームであり続けていたというのも、時代感覚を考えさせられるものですし、国際的には〈国〉として認められないチームを集めた大会のことも、こうした世界があるのだという発見につながります。
そうした多様性をきちんと育てることがグローバルの本来の意味なのでしょうし、そうしたものの発表媒体として文芸雑誌が機能することも、重要なことなのでしょう。