編年体

加藤周一自選集』(岩波書店、2009年から2010年)です。
加藤さんの生前から企画がはじまったもので、〈加藤周一を定義する〉ということで、著作を年代順に並べています。平凡社版の『加藤周一著作集』にはいっていない文章も、収められています。
第1巻は、戦後まもなくのもので、『1946・文学的考察』や『抵抗の文学』に収められたものが、よみごたえがあります。編年体紀伝体どちらにも一長一短はあるのですが、加藤さん亡きいまとなっては、この自選集が年代順をとったのは、妥当だったように思えます。小説家の全集の場合、小説とそれ以外とをわけて年代順にするのはやむをえないと思うのですが、評論中心の人の場合は、そのときどきの関心のありようを示す上で、編年体の編成がいいのかもしれません。
とはいっても、著作集24巻別巻1をもっているうえに、自選集10冊を重ねるべきかどうか、今でも悩んでいます。