とびこし

秋山良照『中国土地改革体験記』(中公新書、1977年)です。
著者は、戦時中中国軍の捕虜となり、延安で捕虜教育に従事し、戦後引き揚げてきたあと、〈五〇年問題〉のなかでふたたび中国に渡り、現地で農村工作に携わりました。そのときの経験を記録したものです。
最初の土地改革が、地主から耕作者に土地を渡すもので、地主とのたたかいが主眼になっているのですが、そのあとの第2段階は、合作社から人民公社へという、共同化への改革となっていきます。
その段階ごとの困難を、どのようにして過ごしていくのかというところで、このやり方がよかったのかとは、今日の段階ではいえるでしょう。そこまで、当時の人びとは一気に飛び越していったのです。そうした、激動の記録としては、考えさせるものです。
このとき、著者たちを指導していたのが、趙紫陽だったというのも、時間の流れを感じてしまいます。
こうした本も、中公新書で出ていたのですね。