外に出る

雨宮処凛さんの『悪の枢軸を訪ねて』(幻冬舎文庫、2004年、親本は2003年)です。
雨宮さんの、1999年から2002年にかけての5回の訪朝と、1999年にイラクを訪れたときの記録です。
当時のそれぞれの国の事情がよくわかるものなのですが、実は、一番印象に残るのが、「北朝鮮では障害者をみなかった」という雨宮さんの記述です。
たしかオールコックの『大君の都』だったと思いますが、日本では盲人が健常者と同じように街中を歩いていて、仕事もしていることに敬意を表した記述があったと記憶しています。それに対して、北朝鮮の現実が、雨宮さんの書いたとおりだとしたら、そこに広がっている空虚さの正体を考えなければならないでしょう。
ことの本質は、意外に簡単なところにあるのかもしれません。