ぜいたく

『1995年 未了の問題圏』(大月書店)です。
中西新太郎さんと、雨宮処凛中島岳志湯浅誠栗田隆子杉田俊介のみなさんとの、連続対論というかたちで、1995年あたりから現代に続く問題点をさぐっています。
それぞれの論者自身が、このテーマで1冊の本を書けるくらいの内容をもっているので、あわせると、ずいぶんと充実した内容になっています。
その上で、注文をあえていうなら、1994年に法案が成立し、1996年から実際に行われた、小選挙区制に対しての議論があってもよかったかなとは思います。社会的な諸問題をとりあげ、そこに方向づけを与えるものとしての「政治」の問題は避けて通れないわけですし、そのときに、議会が、小選挙区制のもとで、「ひとり勝ち」の状態であるならば、現状への不満や改革への「受け皿」の問題は無視できなくなるのではないかと思います。
もちろん、そうしたテーマで中西さんと対論できる方は誰なのかと思うと、よくわからないのですが。

実際の国会の中は、ぐちゃぐちゃのようですね。現状のほうがよっぽど「政治空白」のように見えます。

戦艦ポチョムキン』の戦前の日本での扱い(いちどは輸入され、検閲のための試写までしたが、結局公開は禁止された)に関して、コメントなどいただきました。ありがとうございました。徳川夢声シンガポールで「風とともに去りぬ」だかを見て、こんな映画をつくる国と戦っても勝てるわけがないと思ったとか聞いたことがありますが、戦前の日本のそうした言論・報道・文化における「鎖国」的な実態は、もっと知られなければならないのですね。