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水谷千秋さんの『継体天皇朝鮮半島の謎』(文春新書、2013年)です。
継体天皇の出自を、近江国に求め、そこにある古墳の被葬者を系譜にてらしあわせながら考えていく方法をとっています。著者は文献史学のひとですから、考古学の成果を借用するというかたちで、文献では見えてこない状況を探ることになります。6世紀はじめには九州からの石がヤマト王権とかかわりのある古墳に使われていたのが、ある時期に消えてしまうことを、〈磐井の乱〉とのかかわりで考えたりもします。
古代史の場合、文献は木簡や金石文でも出土しない限りもう出てこないも同然ですから、こうした方法も使えるということなのでしょう。ただ、本当に決めつけられるのかは、まだまだわからないことも多いのでしょう。そこがおもしろいと、言えば言えるのかもしれません。