対決

『ホト河でのたたかい』(李英儒著、石川賢作訳、新日本出版社、1964年、原著は1951年)です。
1942年の河北省における日本軍に対しての八路軍と地元住民の戦闘を描いた作品です。
日本軍が、太平洋地域まで戦争を広げたとき、中国戦線でなにが行われたのかは、まだまだ同時期のミッドウェー海戦ほどには知られていないのですが、その時期を中国側からみると、こうなるというものでしょうか。
日本軍の内面にわけいって書くことはできないのはしかたがないのですが、自分たちの身を守ろうと、「維持会」なるものをつくる地主とそのとりまきたちは、もう少し深く描かれてもよかったのではないかと思います。
この時期から約30年後の世界は、莫言の「牛」で描かれる農村風景につながるわけで、そこを意識して読むと、二人の作風の違いも見えてくるのでしょう。
こうした作品も、必要なのです。