紀律維持

三浦哲郎さんの『おりえんたる・ぱらだいす』(文藝春秋、1971年)です。
東北地方のある町を舞台に、米軍占領時代の女性たちの生き方を、朝鮮戦争の時期まで追いかけた作品です。タイトルは、この町につくられた進駐軍将兵のためのダンスホールの名称で、そこではたらく女性たちが、ホールの営業時間がおわったあと、将兵たちとどこかにいくのです。
それもだんだんと時期がたつうちに、ハウスと呼ばれる一夜を過ごす場所が主流となっていくのです。
別に、日本軍だけが無茶をしたわけでなく、こうして米軍相手の商売も存在したわけですから、あったことをきちんと認めるのかどうかという問題になるのでしょう。女性たちだけでなく、特攻隊くずれで、闇屋をやり、駐屯地に忍び込もうとして失敗して死んでしまう青年も出てきて、戦争の与えた傷ということも考えさせます。