その前夜

『戦場のエロイカ・シンフォニー』(ドナルド・キーン、小池政行著、藤原書店、2011年)です。
お二方の対談というか、キーンさんへのインタビューというか、戦時中のキーンさんの体験を軸にして、いまの日本につながる話をしています。対話自体は2010年におこなわれたのですが、その段階からキーンさんは日本に永住しようと決めていたようです。国籍の取得とまではいかなかったのでしょうが。
海軍に勤務して、日本兵の日記を読んだり、捕虜の尋問をしたりというキーンさんの経歴はすでによく知られていることでしょう。その中でも、戦争を嫌悪するというキーンさんの立場は一貫していました。それは、地震のあとに、日本国籍を取得しようという現在の行動にもつながっているのでしょう。
そうしたキーンさんの気持ちに応える日本ということも考えてしまいます。どういう日本をつくるのか、そこが問われているのでしょう。