記録

今尾恵介さんの『地図で読む 戦争の時代』(白水社)です。
戦時中の地図や、戦争施設の名残を今の地図にみるという、過去と現在を往還するようなものです。
戦時中というより、戦前から、日本では横須賀あたりとか、呉線では海岸沿いを走るときには汽車の窓を閉めさせるとか、いろいろと聞いてはいたのですが、それが地図の上からも確かめられるのが、実態を明らかにします。
このご時勢、偵察衛星が空を飛んでいて、それこそ福島第一原発の現状をあっさりと空撮できる状況下では、地図でいろいろ隠そうとした技が、笑いのタネにもなりかねません。けれども、米軍は、東京界隈では、残すところと、壊すところとをきちんと区別して空爆していた(東京大学の付近が意外とあれこれ残っているのもそのひとつだそうですが)ので、隠してもしかたがなかったのかもしれません。
地図が隠される世の中には、ろくなことがありません。それは日本だけのことではないでしょう。