交錯

白石太一郎さんの『考古学と古代史のあいだ』(ちくま学芸文庫、2009年、親本は2004年)です。
考古学の立場からすれば、卑弥呼のクニが大和盆地にあったことは、当時の古墳や土器の形式からするとほぼ確定的なのだそうです。もちろんそれは、『日本書紀』にいう皇統譜が正しいことを意味するものではないわけで、考古学の立場でわかることと、文献史学の立場でわかることとは、お互いに接触しながら、共通点がみえてくるということのようです。空想をたくましくするのは楽しいですし、文献や出土文物を自己流に解釈するのもおもしろいのでしょうが、そこにはおのずと、節度も生まれてくるのでしょう。