信じて走る

『闇があるから光がある』(学習の友社)です。
今年の各地でおこなわれた、小林多喜二を記念するつどいでの、諸氏の講演を文字にしたものです。いずれも、今の社会情勢を読み解きながら、多喜二の文学を語っていくという姿勢が、共通するものとしてみえてきます。その点では、〈蟹工船ブーム〉と呼ばれた、数年前の段階よりも、多喜二の読みが深まっているようにも思えて、さらにそれ以前に、〈「文学」としての小林多喜二〉ということさらな取り上げ方をされていた時期とは、あきらかに違っているようにも思えます。
もちろん、それは現在の情勢が、今までよりも危険になっていることでもあるわけで、秘密保護法だの、集団的自衛権行使容認の閣議決定だのというような、国のありかたを変えるようなものとのせめぎあいの中で、多喜二の文学が問い直されるということなのでしょう。