ねらいが変わる

加藤佳一さんの『つばめマークのバスが行く』(交通新聞社新書)です。
国鉄バスからJRバスへの移り行きを、コンパクトにたどったものです。
かつては鉄道が走れない部分をつなぐ役割をもっていた国鉄バスも、分割民営化以後は、高速道路網の発達によって、都市間を結ぶ高速バスが主体となっています。そこには当然、不採算路線を切り捨てていったというところもあるのですし(県境をまたぐ路線も多いので、通しで乗る人も少なくなります)、過疎地での自家用車の普及ということもあるでしょう。
新書判ですし、交通新聞社という、JR監修の時刻表の出版元ですからそういう負の面の記述は抑え気味なのもしかたのないことではあるでしょう。大船渡線気仙沼線のBRTについての記述がほとんどないのも、残念なところでもあります。
そうした補完は、読み手がするものかもしれません。今も走っているJRバスのさまざまな路線の乗車記も、一つの証言ではあるのですから、そうした歴史を考えるのも、必要なことでしょう。