便乗

高橋秀美『おすもうさん』(草思社)です。
相撲とは何かという、答えが出るようで出ないものを、いろいろな関係者への取材であきらかにしようとしたものです。
実際、もともとは大男が取っ組み合う興行だったものを、いろいろと理屈をつけて、日本の文化伝統の一翼としたのだということが、みえてくるようになっています。考えてみれば、江戸時代から明治中期にかけて、「怪童」とか称して、大きなこどもに、横綱のように(綱は締めませんが)ひとり土俵入りをさせたりしたわけですから。
ただ、戦時中の時流に乗ろうと、関係者がこじつけの言動をしていたというのは、今にしてみれば、考えさせられます。それは、いろいろな芸能が、戦時中にどう生きていったかということとも関連するので、もっと検討が必要なのでしょう。