平準化

小林信彦さんの『ドジリーヌ姫の優雅な冒険』(文藝春秋、1978年)です。
雑誌『クロワッサン』に連載された小説で、若妻が夫とともに食をめぐるいろいろなトラブルにまきこまれながら危機を打開していくという娯楽小説です。食をめぐるうんちく的なところが読みどころなのですが、連載された1970年代後半には珍しかった事物が、今となってはわりあい誰もが知っているもののようになったかもしれません。アボカドをめぐる話で1話分つかっているのですが、〈カリフォルニア・ロール〉がその後生まれるとは、当時は誰も思わなかったことでしょう。
そうした時代の移り変わりも感じさせてくれます。