直前

川喜田愛郎『医学概論』(ちくま学芸文庫、2012年、親本は1982年)です。
大学生向けの教科書という体裁ですから、医学とは何かを、初歩から解説しているという点では、医学生以外にもけっこうおもしろく読めるのではないでしょうか。
そこでは、医学が現実社会のなかで占める位置のことを考えたときに、保険制度のありようまで考えなければならないという、著者の見識には、あらためて学ばなければならないようにも思えます。
たしか、一般健保の本人負担がはじまったのが1984年ではなかったか(記憶があやふやです、ひょっとすると1985年だったかもしれません)とするならば、保険問題にも視野を広げたのも、時代の要求だったのかもしれません。