くどい

池井戸潤さんの『銀翼のイカロス』(ダイヤモンド社)です。
半沢直樹ものの最新作ということで、航空会社再建にあたって、銀行に債務を一部放棄させるという再建策が政府筋から出たのに対して、半沢がそれを撤回させるという流れです。
半沢が融資畑を歩いてきたがために、預金を集める側のことに対しての動きが見えないというのは、このシリーズの展開上仕方ないことではありますから、ことあらためていうことではないのですが、将来半沢が銀行の中でそれなりの地位を占めるのならば、いつかはぶつからなければならないことではあるのでしょう。
半沢シリーズも4作目となると、そろそろキャラが固まってきます。そうなると、叙述も紋切り型になります。黒崎の出てくる場面がいい例で、くどくどと書かれていて、もうおなじみの人物だからいいよ、といいたくもなります。固まったキャラが演じる、というのは、こうした小説の場合よくあることなので、そういうものかと思ってつきあうしかないのでしょう。その読みづらさをけっこう感じてしまいました。