少しずつでも

『風見梢太郎原発小説集』(民主文学館、光陽出版社発売)です。
この間、『民主文学』誌に掲載されていた短編に、同じ登場人物のその後を描く書き下ろしも含めてまとめたものです。
原発事故以降の、さまざまな場面をとらえて、事故が人びとに与えている事象をとらえます。かつて原発で働いていた老人の独居生活もあれば、いちえふで収束のために働くひとたちに、出されるべき危険手当が労働者の手に渡るように奮闘する人、学生時代は社会の変革にこころざしながら、企業の中ではたらくうちに、立場を微妙に変えていった人が、事故を受けて変わっていくすがた、といろいろな場面があらわれます。
日常生活の中にはいりこんでいるものの実態を、少しでも見えるようにしているのが、こうした作品のありようなのでしょう。地味ではありますが、鼓舞されるべき仕事といえましょう。