地中から

岸俊男『宮都と木簡』(吉川弘文館、1977年)です。
著者の小論考を集めたものですが、1960年代からの開発の中で、遺跡をどう考えていくかという視点が、大きく貫かれています。
いまでこそ、平城宮址は史跡として扱われているのですが、そこも、国道のバイパス建設の予定地になっていて、そのままの計画では、今の東院庭園は存在しなかった危険があったわけです。そうした、それぞれの遺跡を、とりあえず今の姿にするにあたって、著者が一般紙誌に発表した、これらの文章は貢献したのでしょう。
そうした蓄積の上に、この間の1300年記念行事もあるわけです。

追記)著者の名前を誤記しているという指摘を受けたので、なおします。