同い年

四方田犬彦さんの『李香蘭原節子』(岩波現代文庫、2011年、親本は2000年)です。
戦前からの映画界で活躍した同年(1920年生まれ)の二人に焦点をあてて、当時の映画事情を考えています。
西洋に対してある種の劣等感を抱いていた日本が、東アジアに対しては支配者としてふるまうという、ある意味ではこの150年を通した構造が、映画の世界でも見られるということになるのでしょうか。原節子は戦前にドイツのフィルムによって有名になり、山口淑子は〈満洲〉の映画と関係をもつ。戦後も、小津映画で原がみせる姿が、ある種のエキゾティシズムを生んだということになるのでしょうか。
いろいろな分野でのナショナリズムに関して、まだまだ知らねばならぬことは多そうです。