日本天皇・太子…

小路田泰直さんの『神々の革命』(かもがわ出版)です。
著者は近代史がどちらかといえば専門なのでしょうが、古代史へのアプローチとしての本です。
記紀の記述を、歴史としてよむことで、崇神天皇の時代を、倭国が農業社会に転換する時期の大変革として位置づけるなどの論が展開されます。
そのなかで、女帝の可能性という論がたてられます。神功皇后はもちろんのこと、仁賢大王の娘、手白香さんにもその可能性をみるのです。彼女が継体大王に嫁いだのも、大王の血統を絶やさないためのもので、実態は彼女が大王であったと考えると、彼女が欽明大王を産んで、成長して跡継ぎとなれるとわかったところで、継体大王と、彼が越前時代になしていた子どもである安閑・宣化の両者は〈不要な存在〉になってしまったと考えると、筋が通るというのです。
かつて、古田武彦さんは、継体紀の最後に注の形で、〈日本の天皇と太子、皇子が同時に亡くなった〉という記事から、筑紫君磐井がこの記事の〈天皇〉だとして九州王朝説の補強につかいましたが、今回の小路田さんの考え方によれば、欽明の成長によって、継体・安閑・宣化(安閑も宣化も手白香の姉妹と婚姻しています)の3人が、いっせいに〈処分〉されてもおかしくない事態が起きていたととることができます。それならば、この記事の形で伝承されても不思議ではありません。