どこに目をつける

今日は志賀直哉の命日だそうです。
「城の崎にて」や「清兵衛と瓢箪」が有名になっているので、志賀直哉というと、けっこう少年期の読書素材としてうけとめられているような感（実際、こちらもここ30年くらい小説作品は本格的に読み直していません）もありますが、実際には相当おとな向けの作家のような感じがします。男のもっている〈闇〉の部分に、そうとう切りこんでいるのではないかと。「暗夜行路」の前編の最後の部分は、怪しげな場所に主人公があがりこんで（それも2回も）いるだとか、相当なものではないでしょうか。
そうした器の大きさが、たくさんの後進から仰がれることにもなっているのだと思います。尾崎一雄が志賀直哉にひかれたのも、尾崎自身の〈荒れた〉生活からの脱却に際して、志賀自身の軌跡も手がかりになったからではないでしょうか。
もう少し余裕ができたら、きちんと読み直していかなければなりませんね。