商売柄

香山リカ橘木俊詔対談『ほどほどに豊かな社会』(ナカニシヤ出版、2011年)です。
震災前に行われた4回の対談に、その後のことを追補して1冊にまとめたようなものです。
両者の社会に対してのとらえかたの対照的な面に目がいきます。橘木さんは、システムをうまく構築すればいろいろな面が改善できると、総背番号制やベーシックインカムのありようを提唱します。それに対して香山さんは、人間はそんなにうまく行動するものではないと、人の心の闇をみすえた発言を返します。そういうところに、経済学と精神医学とのちがいも明らかになるのですし、それが対話の意味にもつながるのです。
消費税をめぐる議論(橘木さんは消費税増税を以前から唱えています)など、いろいろと検証は必要でしょうが、今の日本を考える上で、重要な問題提起をしているものだとはいえるでしょう。