手順

『相撲』の2月号に、興味深い投書が載っていました。
その人は、初場所のある平日に、当日売りで桝席をバラで2人分購入して友人と観戦していたそうです。すると、途中から「会いマス」の切符を持った人がやってきて、「相席になりました」とすわってきたので、その人たちはガラガラの場内で、別の席に移動したというのです。
たしかに、今場所は相撲協会も、平日に関しては、「会いマス」という切符を発案し、マス席の個別売りを始めました。けれども、この投書をみるまでは、それは「会いマス」用にいくつかのマス席を確保しておいて、そうした切符を持っている人(つまり相席になることを前提で切符を買った人)どうしで相席になるものだと思っていました。けれども、このケースのように、当日バラで売られた席にも、「会いマス」の人ははいってくるのだそうです。この人は、満員ならともかく、空席だらけなのに、機械的に4人すわっていないマス席をあてがうやり方を批判して、「愚挙」と言い切っています。
この人の言い分にも理はあるなと思って、投書主の名を見ると、「坪内祐三、53歳」とあるではありませんか。坪内さんなら、この材料をどこかの雑誌に書けば、それで1篇のエッセイにもできるでしょうに、あえて『相撲』誌に投書する策をとったわけですね。そのほうが、関係者の目にとまることにもなるという判断なのでしょう。
坪内さんの意外な面を見た感じがしました。