間があく

桑原武夫論語』(ちくま文庫、1985年、親本は1974年)です。
論語』のような本は、誰がどう読んでもいいものですから、内容はとくに言うこともないのですが、もともとこの本は、筑摩書房の〈中国詩文選〉のシリーズの1冊でした。
このシリーズは、全24冊の予定で、いろいろな古典作品について、書き下ろすもので、たとえば『詩経』は中島みどりさん、『宋詞』は村上哲見さん、というようなラインアップでした。
当時筑摩書房は、この手の叢書を企画していて、〈日本詩人選〉〈近代日本詩人選〉などが出ていました。けっこうおもしろいもので、寺田透和泉式部』だの、安東次男『与謝蕪村』だの、桶谷秀昭さんの『北村透谷』だのと、いろいろとあったものです。
けれども、刊行が長期にわたってしまい、いずれも中絶しています。山本健吉西行』とか、福永光司阮籍・嵆康』とかのように、予定された著者が故人になってしまった場合もあります。
そのため、この前でた三木卓さんの『北原白秋』は、このシリーズの1冊だったはずなのですが、そうしたことを思わせないように、ふつうのハードカバーの単行本として出版されました。仕方ないとは思いますが、ずっと継続して待っていた人には、不親切だったのではないでしょうか。