ちょっとしみじみ

岩波文庫の『山上宗二記』(熊倉功夫校注、2006年)です。
タイトルにある山上宗二(1544-1590)は、千利休の弟子で、利休とともに茶の湯のみちに深く参入し、秀吉の勘気をこうむって処刑されたというのです。そういうこともあって、同時代人の立場からの利休の逸話なども紹介されています。
この本には、「茶話指月集」という、利休没後100年を期して編まれた逸話集ものっているのですが、その中に、利休の妻が、香炉の足が一分高いと指摘し、利休も同じことを考えていたので、妻の進言を聞き入れて足を削ったというエピソードが載っています。
この話、幸田露伴が紹介しているのですが、この話で、父が存命のころ、部下の結婚式でスピーチをしまければならないので、何かいい話を知らないかと振られて、露伴全集に載っていたこの話を教えたことを思い出してしまいました。
そのころの父の年齢に近づいているのですが、民間企業で、いわゆる出世をめざす道にいた父とは、ずいぶんとちがう立場になったかなとも思うのです。来年は父の二十三回忌にあたる年なので、(法事をするかどうかはわかりませんが)、上手に年を重ねていかなくてはいけないということでしょうか。

すっかり、わたくしごとになってしまいました。