切り継ぎ

平野啓一郎さんの『ドーン』(講談社)です。
2036年アメリカを舞台に、有人火星探索ミッションに参加した人びとの葛藤を描いた作品です。内容については、もう少しきちんと考えなくてはいけないのですが、平野さんが描いた未来のなかで、おもしろいと思ったのが、〈Wikinovel〉というネット上のプロジェクトです。
これは、小説をネット上で不特定の人びとが書いていって、いろいろな修正をしながら作品をつくっていくというものです。
火星探索ミッションを材料にした作品が多くかかれ、それが事実よりももっともらしいというのも、平野さんの、現実と虚構についての考え方なのでしょう。
現在のWikipediaもそうですが、みんなで寄り集まって、何かをつくりあげるという、バベルの塔以来の人間の行為を通して、真実に接近できるとしたら、それはいいことなのでしょう。それだけの良心と知性を、どれだけもつことができるのかということでしょうね。

臓器移植法、いわゆるA案が通ったようですね。これはこれで、考える機会が必要かもしれません。