転化

三浦國雄さん訳注の『「朱子語類」抄』(講談社学術文庫、2008年、親本は1976年)です。
朱子学というと、寛政異学の禁のように、権力と一体化したというイメージもあるのですが、この、弟子が筆録した朱子の言動には、ひとつの学問的体系をたてようとする気概がみてとれます。朱子学そのものの世界観はよくわかりませんが、朱子が、仏教や道教を批判するのも、そうした体系化へのすじみちとして必要だったのでしょう。
キリスト教が最初はローマ帝国の支配への批判のよりどころとなっていた時期もあったのに、だんだんと変化していくように、思想も、変わっていくのかもしれません。村上春樹さんの、壁と卵のたとえが妥当かどうかは、いまは保留しますが、思想を壁にしてはいけないのだと、思います。