同情するなら

赤木智弘さんの『若者を見殺しにする国』(双風舎、2007年)です。
「希望は戦争」ということばで、一躍時の人になった彼ですが、その文章なども含めたものです。彼がいかにしてそうした言説をするに至ったかが、よくわかります。
もちろん、彼の言い分は、それこそ安達祐実のドラマの世界ではないですけれど、『金か仕事をくれ』というだけです。それも、雇用する権限のある人ではなく、雇用されている労働者に向かって言っているところが、彼らしいのです。その点では、彼が引き合いに出した「丸山真男」が、『結果責任』を主張して、社会変革の運動を否定したのと、同じ立場にいるといえます。その点で、「丸山真男」を引き合いに出したのは、共通性をみとったのかもしれません。
ですから、彼のもっている絶望感を理解したうえで(共感できるかどうかは、その人の生きかたとも関係するので、共感できなくてもかまわないでしょう)、自分の持ち場でしっかりやることなのでしょう。彼自身も、自分を批判するよりも、結果を出してほしいと願っているようですから。(彼自身が結果を出すことに協力するつもりはあまりないようですね。リスクを犯してまでデモなどをやりたいとは思っていないようですし)
そう、必要なのは「同情」ではありません。