異国にて

一ノ瀬俊也さんの『旅順と南京』(文春新書、2007年)です。
日清戦争のときの、兵士と軍夫との日記を読みながら、そこに書かれた日清戦争の事実を追求しています。当時は、旅順攻略戦のとき、民間人を殺害する事件がおきたのですが、それにいたるプロセスを、日記の中の記述などから探り出します。このときの旅順での事件と、1937年の南京における事件との類似点を、著者は探ります。
他国の領土にはいりこんで戦争をすることは、どうしてもそこの国の人びととの接触をさけられません。そのとき、逸脱行為はおきてしまいます。軍紀を厳しくしようとしても、戦争が相手の生命を奪い、同僚の生命を奪われるという状況であるからには、そこでの人間の精神は、まっとうなものとは言いがたい面があるのでしょう。

横須賀でのタクシー運転手殺害事件も、似たような構図かもしれません。三浦元社長を収監しているのですから、逆に日本側は関係米兵を収監することはできるのではないでしょうか。何日か前に書いたことですけれど。